2022/8/9

ヘルシンキでのこと

マ・レルラ デザイナーの
阿部真理です。

こちらにおたずねいただき
ありがとうございます。

どこにも出られないときは、楽しかった旅のことでも思い出しましょうか。

子供が大体育ち、置いていってもなんとかなる、と思った10年前くらいでしょうか。

前から行きたかったヘルシンキへテキスタイルを見に一人で行ってくる、と言うと夫がどうしても一緒に行くと聞かず、そこから続く二人旅が毎年はじまったのでした。
それまでは家族で海外は出掛けても二人で旅をすることはありませんでした。

こだわるところが違うのがありがたいところで、彼は自分の興味のある庭を体験したいために同じ市内で三ヵ所のホテルを予約してくれて、それぞれ趣きの違う思い出深い体験が出来ました。

マリメッコの本社でたくさん買い物をし、大好きなアラビアのアウトレットでは、今もアトリエで使っている器を空港で重量オーバーで税金をたっぷりとられるほど買ってしあわせでした。

サンデーマーケットでは、珍しい蚤の市を堪能し、町のあちらこちらで自宅の庭にガレージセールもされていて、行きたかったアアルトのアトリエに行く道々、地元のかたとふれあいました。

でも、しかし、それに勝る特筆すべき出来事は、間違えたトラムをかけおりた目の前にあった「すし」という看板をみて入った店での出会いです。

その店は、席があり、好きな寿司を自分で取りに行くシステムで、座っていた私に先に取りにいった夫が、「あそこにいる女性に終わったらお茶しませんか」と誘ったと言うのです!
そこでアルバイトをしている女性にそんな声かけますか?
私は、一瞬怒りが沸いたのですが、その女性のなんともほわっとした雰囲気と、色々聞いていくと、ヘルシンキで暮らしている日本人とわかり、私たちが夫婦で安心されたのだと夕方指定された街中のとびきり見晴らしのいいビヤガーデンへと向かいました。

彼女は、フィンランド人と結婚し、昼間の空いた時間、現地の言葉に慣れようと寿司店でアルバイトをされていた、なんとテキスタイルデザイナーでした!
それも芸大の大学院を出られたエリートの。

それから話しのはずんだこと!
夫は地元の情報を教えてもらいたかったから、とのことでしたが、ほとんど会話は私と彼女(笑)
日本の風呂敷メーカーで風呂敷を作っていること、服は?作りたいけど作れない、じゃ、私が作りましょうか?、ととんとん拍子に話が進みました。
私は、フィンランドの生地を送ってもらうことになり、現在もそれが続いています。

そんな出会いってなかなかないですよね。
夫が世間の常識にとらわれない人ゆえの私への恩恵は数知れず。
(リバティプリントを全部買っちゃえ、といったこともあったし(笑))

いい加減、もっと大事にしないといけませんね(笑)

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